国外に暮らす日本国籍保持者は、条件を満たせば一時帰国時に免税を受けられれます。
そこで本記事では、免税がうけられる基準や在留証明・戸籍の附票の写しetc.の必要書類を紹介。
また、日本のタックスフリーに関する概要・流れ・注意点を、私自身の体験談も交えながらまとめてみました。
これらに加え、2024年5月に発表された免税制度見直しの可能性について、変更点・目的などを記載しています。
久しぶりに日本に帰ったら、色々と日本の物を購入するという方はぜひ参考にしてくださいね。
一時帰国時に免税を受けられる人の条件
日本国籍保有者で、免税を受けられるのは以下の条件を満たす人です。
- 2年以上継続して国外に住所または居所を持つ人
- 一時帰国での日本の滞在期間が6か月未満の人
国外に住む期間が2年に満たない人や、6か月以上の長期に渡って日本に滞在予定の人は対象から外れます。
海外在住日本人が免税を受けるための必要書類
免税をうける時には在留証明OR戸籍の附票の写しと帰国時の入国スタンプが必須です。
外国人旅行者がタックスフリーをうける際にはパスポートの提示だけで済みますが、邦人には特別な書類が必要になります。
以下にそれぞれの書類の入手法を解説していきましょう。
- 在留証明OR戸籍の附票の写し
- 帰国時の入国スタンプ
在留証明の入手法
在留証明は居住国の大使館/領事館にて入手します。
日本に帰ってからではなく、帰国する前にあらかじめ準備しておかなくてはならない点を頭に置いておきましょう。
参考までに2023年7月現在在ミラノ日本総領事館のサイトに記載されている必要書類は次の通りです。
- 申請書(大使館/領事館備えつけ)
- パスポート
- 戸籍謄(抄)本(なるべく発行日が新しいもの)
- 有効な滞在証明書
- 現住所および2年以上の居住期間を証明できる書類(現地役所で入手)
- 手数料(2023年7月現在9ユーロ)
申請3日ほどで交付がうけられますが、戸籍謄(抄)本がいるのが難点ですよね。
手元になければ日本からわざわざ取り寄せることになるわけですが、帰国前に日本からわざわざ戸籍を取り寄せるなんて面倒。
また、在留証明は日本入国時から遡って6か月以内に発行されたものでなければならない点もポイントです。
戸籍の附票の写しの入手法
戸籍の附票の写しは日本の本籍地の役場で入手します。
本籍地に帰省する人は直接窓口で請求するのが手っ取り早いでしょう。
また、本籍地を訪れる予定がない人は郵送で申請するという選択肢もあります。
詳しい方法は本籍のある市町村の役場のサイトでチェックしてください。
帰国時の入国スタンプのもらい忘れに注意
日本に入国する際にはパスポートにスタンプをもらうのを忘れないようにしましょう。
以前は入国審査官がもれなく押してくれていましたが、近年は自動化ゲートが導入されていますよね。
自動化ゲートを通って入国すると、パスポートにスタンプが押されません。
そうなると免税店では日本での滞在期間がわからず、タックスフリーを拒否されるケースも。
スタンプが欲しい人は、ゲートを通過した後に近くにいる係員にその旨を申し出るようにしましょう。
日本における免税の概要
ここからは、外国人旅行者でも一時帰国する邦人でも共通する日本のタックスフリーに関する基本的な情報を解説します。
免税手続きで10%が免除される
2023年7月現在の消費税は10%なので、タックスフリーによって10%が免除されることになります。
免税が受けられるお店
免税を受けられるお店は免税店シンボルマークを目じるしに探すことができます。
日の丸に桜の模様がデザインされたようなマークを掲げたお店を街中でもよく見かけますよね。
最近では空港にある免税店だけでなく、市中のデパート・ショッピングモール・家電量販店はもちろんドン・キホーテ・ドラッグストア・Muji・ユニクロetc.様々なお店で免税対応しています。
免税対象商品:合算も可能
免税となるのは消耗品か一般物品に分類される品です。
一般物品は1人の非居住者に対し、同一店舗における1日の販売金額がトータル¥5,000以上。
消耗品ならば1人の居住者に対し、同一店舗における1日の販売額がトータル¥5,000以上¥500,000以下である場合消費税が免除されます。
一般物品と消耗品は、消耗品の要件に沿わせる形であれば合算することも可能。
つまり、合算で\5,000以上\500,000以下、特殊梱包、国内での使用不可etc.の要件を満たせば合算してもらえるのです。
経験談を紹介すると、私は「某M良品」でかいものをしました。
内容は服と食品で、個々の値段だとそれぞれ\5,000以下でした。
しかし、一般物品である服を消耗品である食品とまとめて特殊梱包するのを条件に合算してもらい、トータルが\5000以上になったので税抜き価格での購入が可能となったのです。
このことからも、\5,000以下の少額のものは品揃えの豊富な店でまとめ買いするのがおすすめといえます。
指定されたやり方で包装
消耗品は、店舗で特殊梱包をしてもらう必要があります。
実際の包装はお店の人がやってくれるので、購入者が詳細を知っている必要はありません。
しかし、1つだけ購入者が頭に入れておかないといけないのは、消耗品の免税は「国内で使用しないこと」が条件となっている点。
このルールが守られるように、特殊梱包は開封したことがわかる方法で包装されています。
誤って出国前に開封しないよう十分気を付けてくださいね。
30日以内に国外へ持ち出す
消耗品に関しては、30日以内に国外へ持ち出さなければならないというルールもあります。
30日を超える長い期間滞在予定の人、消耗品の購入は出国が迫ってからにしましょう。
日本での免税購入の流れ
一時帰国した非居住者が免税でかいものするときの手順をご紹介します。
Tax Freeショップで買い物する
タックスフリーのシンボルマークのあるお店でかいものをします。
会計の際に店員に「免税したい」と申し出ましょう。
必要書類を提示すると手続きをしてくれて、税抜き価格で商品が購入できます。
空港でパスポートを提示する
出国時には空港でパスポートを提示します。
空港にあるパスポートリーダーで情報を読み取りましょう。
ちなみに以前は税関でレシートを提出しなければならなかったようですが、2021年10月からは完全電子化されているため、パスポートの提示だけですむようになりました。
免税ショッピングの注意点
一時帰国時のTAX FREEショッピングならではの気をつけたい点をご紹介します。
居住国に持ち込める品・量を確認しておこう
買ったモノをもち帰る居住国の持ち込み制限をチェックしておきましょう。
TAX FREE・DUTY FREEだからとあれもこれもゲットしたくなりますが、住んでいる国に持ち込みが許可されていなければ元も子もありません。
政府機関のサイトなどを訪れ、何が・どれだけ持ち込み許可されているのかを確認してください。
荷物の超過料金を考慮しよう
荷物の持ち帰りにかかる費用もしっかり考慮したいものです。
税抜きのお得感に浮かれてついつい色々買いたくなりますよね。
しかし、飛行機の荷物の超過料金はとても高額。
下手すれば、税抜で浮いた額より航空会社に徴収される料金の方が高くなることも十分あり得ます。
どんなに安くゲットしても、持ち帰るために高額な超過料金を支払っていては本末転倒。
特に、嵩張るモノ・重いモノは計画的にゲットしましょう。
免税品をスーツケースに入れる場合は職員に申し出を
免税品を受託手荷物とするならば、Check‐in時にその旨を申し出ます。
荷物がたくさんある時は、受託手荷物にして持ち帰りたいですよね。
「しかし、そうすると税関のチェックが受けられないのでは」と心配になります。
結論から言うと免税品をスーツケースに入れるのはOKなのです。
航空会社に荷物を預ける時に申し出れば、税関担当の職員がその場で確認してくれます。
スーツケースに入れて出国した時の体験談
私は、家電やら大量の食べ物やらを買い込んだので、機内持ち込みはどう考えても不可能と判断し受託手荷物にしました。
下調べ通りに、空港で免税品をスーツケースに入れているとグランドスタッフに伝えたところ「はい、大丈夫ですよ」という返事。
税関の方が検査に来るのかなと思いきや、そんなこともなく普通に荷物をCheck-inして終了。
その後、ドキドキしながら保安検査場後の税関へ行くと、そこでも特に何もチェックされませんでした。
1度きりの個人的経験からなので絶対ともいえませんが、検査は全検査ではなく抜き打ち方式なのかもしれませんね。
市中の免税店で買った液体物は受託手荷物へ
街の免税店で飲料・コスメetc.の液体物をゲットしたら、受託手荷物にするのをお忘れなく。
国際線は100ml(g)以上の容器に入ったあらゆる液体のキャビンへの持ち込みが禁止されています。
これは、市中の消費免税店で買ったモノも例外ではありません。
せっかくゲットしたものを保安検査場で没収されないために、かならずスーツケースにしまってCheck-inしてください。
一時帰国時の免税に関するQ&A
ここからは、一般的によくみられる質問に答えます、
開封したらどうなる?
特殊梱包してもらった免税品を開封して使用すれば、使用済みの物に関しては出国時に課税されます。
消耗品は開封したかどうかが判別できる方法で包装されているので、間違って開けることのないように気をつけてください。
Appleは免税できない?
Apple Storeは2022年6月で消費税免税を終了しています。
アップルの日本法人は、アップルストアでの免税販売はことし6月に終了しているとしたうえで「免税販売ができず、ご不便をおかけすることをおわびします」とコメントしています。
NHKより
昔はOKでしたが、iPhoneなどの販売価格が他国よりも安いことを理由に、転売目的で入手していく外国人が多かったため終了したようです。
ちなみに、Apple Storeでは買えなくなりましたが、家電量販店ではApple社製品でも税抜価格で入手可能です。
通販でも免税できる?
一部の通販サイトではTAX FREEができます。
TFO(Tax Free Online.jp)というサイトなら、旅行前・旅行中にオンラインでオーダーするとホテル・空港・街の免税店で商品の受取が可能。
欲しいものがあったのに時間がなくてゲットできなかった、という事態を回避できるのは嬉しいですね。
※2023年7月に閲覧したことろ、日本国籍保有者は一時的に購入対象外とあります。
一時的ということなので、今後利用再開に期待したいですね。
他には成田空港の免税品事前注文もインターネット上でオーダーできて便利です。
空港で荷物を受け取れるため、時短のみならず重い荷物を持ち歩かなくていいというメリットもあります。
成田から出国する方はサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。
一方で、一般的なECサイトではどうなのでしょうか。
調べたところ、例えばUNIQLOのサイトには「オンラインストアは免税対象外となります」という記述があります。
店舗での受取・支払いを指定しても不可とあるので、実店舗で普通に買うしかなさそうです。
将来的に制度改正の可能性!変更点は?
2024年5月、政府が免税制度に関する見直しを検討中という報道がありました。
その内容は、訪日客の免税について、将来的に還付方式の導入を目指すというものです。
現行の制度では、お店でパスポートを提示すると、その場で税抜き価格での購入が可能となっています。
一方、今後変更されれば、訪日客もお店で買い物する際には消費税込の価格で購入し、その後出国時に消費税分が払い戻されるスタイルになるということです。
今回の制度見直しの目的は、後を絶たない転売への対策です。
現行制度下では、訪日客が日本国内で免税価格で購入した物品を日本国内で転売して不当にお金を稼ぐケースが多数報告されています。
払い戻し方法については、現金はもちろん、クレジットカード・各国の電子決済などでの払い戻しも検討されている模様です。
今の方式に比べると出国時の手続きが増えて面倒ですが、不正行為が続いている以上は制度改正も止む無しでしょう。
免税利用でお得にまとめ買いしよう
久々の母国でかいものするならば、他国で買えない・他国で見つかりにくいモノをまとめ買いしたいですよね。
買い忘れを防ぐためにも、普段から「アレが欲しい」「アレがあったら便利なのに」と思うたびにスマホにメモを残しておくと便利です。
さらに、購入するお店ごとに分類してメモをとると帰国中に効率よく時間が使えますよ。
せっかく消費税免除の資格があるならば利用しない手はありません。
免税に関する知識・要件を学んで、賢く利用してくださいね。